ドブフクロウの日記

家も職も人間としての中身もないけど頑張って生きてるよ~

ミカヅキモモコの店内BGMに人生を狂わされる

 誰か俺を助けてくれ。こういうときは何科を頼ればいいのか? 耳鼻科? 心療内科? わかんないけどERとかに駆け込んでみるか。グリーン先生、患者だぞ。ちなみに全然関係ない上にネタバレになるが、これから医療ドラマの金字塔『ER 救急救命室』を観始めるという人は登場人物に感情移入しすぎないことをオススメする。たぶんそいつ悲惨な死に方するから。

これがグリーン先生。ERは「医者を惨たらしく殺すRTA」をしているとしか思えない。

これがグリーン先生。ERは「医者を惨たらしく殺すRTA」をしているとしか思えない。

 耳に特定の音楽がこびりついて無限にループしてしまう現象をイヤーワームという。誰しもCMソングやドンキの店内BGMで同じような経験をしたことがあるはずだ。ただ頭から離れないだけならまだいいが、しかしミカヅキモモコ』という300円均一ショップのBGMはとりわけ危険である。

3コインズなんかと比べるとそこまで店舗数多くないから知らない人も多いかもしれない

3コインズなんかと比べるとそこまで店舗数多くないから知らない人も多いかもしれない

 この店内BGMを一度耳にしてしまったが最後、なんとなくミカヅキモモコの前を通りかかっては入店し、BGMでトリップを味わい、気づけば必要もないのに300円の雑貨を買ってしまう。なんで住所不定なのにインテリア雑貨、具体的には折り畳みスツールとか買ってんの? 今他人の家、しかも「逃亡中の殺人犯みたいな殺風景な部屋に住んでいるオッサンの家」を転々としている生活なんだけど。なぜか俺の友達は逃亡中の殺人犯みたいな家に住んでいるオタクが多い。

 このままだと俺は「家に来るたびにかわいい雑貨を置いていくという狂気じみた属性を持つ誰も見たことがないオッサン」になってしまうし、副次的に「殺風景ながらも随所にかわいい雑貨がちりばめられた遊び心のある部屋に住む逃亡中の殺人犯」を量産することになってしまう。過去、人間を誰も見たことがない生物に変えた店内BGMがあろうか? 2019年1月現在東京都内に11軒の店舗を有するミカヅキモモコは、俺と逃亡中の殺人犯たちの人生の歯車を狂わせようとしている。

これが300円って安すぎませんか?案外そんなもん?

これが300円って安すぎませんか?案外そんなもん?

 俺はミカヅキモモコの回し者ではない。断じて違うと明言しておく。なんなら普通にミカヅキモモコとは無関係の"誰も見たことのないオッサン"が書く記事としてはかなり黒寄りのグレーゾーンを攻めてると思うし、この記事がもし何かの間違いでミカヅキモモコのスタッフに見つかったりすれば今後の人生を一生逃亡者として過ごすことになるかもしれない。それでも俺はミカヅキモモコの店内BGMの危険性をここに明記しなくてはならない。もしも問題あったらこの記事すぐ消しますんでご連絡ください。

 まずはここで店内BGMが聴けるのでお聴きいただきたい。というかここから先はミカヅキモモコの店内BGMをリピート設定したうえで読み進めてもらいたい。それで全てがわかる。

www.momoko300.com

ミカヅキモモコ(M・O・M・O・K・O モモコ)

 

みんなだいすきワクワク ドキドキ

イマドキガールのお約束

ハッピーのかけらあれこれあつめて

女子力アップ ラブリーポップ

乙女心をキュンとつかむ

素敵な出会いが待ってるの

ここにいるだけで幸せな気分

笑顔になるでしょ

 トランス調の曲に乗せられて歌われている歌詞はこれだ。いやもう歌詞からしてかわいいかよ。なんすかラブリーポップって、俺の人生からあまりにもかけ離れすぎていてこれまでの人生で一度も発声したことのない語彙だわ。俺はこうして人知れず「住所不定無職」から「誰も見たことのない住所不定無職のオッサン」へとクラスチェンジを遂げている真っ最中なのに「今どきガールのお約束」や「女子力アップ」といったワードにいく共感し、あまつさえ乙女心をキュンとつかまれてしまっている。息が苦しい。

 だが、ミカヅキモモコの恐怖はこんなものでは終わらない。Bメロだ。Bメロは凄まじい。

ハッピーラッキー エブリディ

キラキラアイテム 300円

キューティースウィーティー エブリディ

魔法にかかるよ 300円

 円って!!!!!!!!

 300円って言ったぞこいつ!!!!??!!?!!111!!

 マイナーコードに転調し、しっとりとした曲調に移り変わるBメロで唐突に挿入される「円」という単位。ここまでの歌詞の世界観から考えたらテディベアとユニコーンがクッキーとお花を物々交換していてもおかしくないのだが、キラキラしたパステルカラーの幻想に突入していた精神はここで急に現実に揺り戻されることとなる。同じく高い中毒性を持った「バ~ニラ、バニラバ~ニラ求人♪」でさえ一貫したコンポジションの上で成り立っているというのに、ミカヅキモモコはそうした暗黙のラインをぶち抜いてくる。あるいはこれはある種のデカダンス的芸術表現なのかもしれない。テディベアとユニコーンもしょせん資本主義に染まり切った現代社会に産み落とされた悲しき獣なのだ。パパはたぶんアダム=スミス。

この世界観に突如として持ち込まれる貨幣の概念

この世界観に突如として持ち込まれる貨幣の概念

  しかしこの振れ幅がまた一種のスパイスとなって脳はさらなるステージへいざなわれる。どうやら我々は魔法にかけられてしまったみたいだ、ミカヅキモモコの魔法に。かと思えば曲は冒頭のリフレイン(サビ)に突入し、2番が始まる。この頃にはすでにこのウィスパーボイスで歌い上げられる「300円~♪」が恋しくなっているはずだ。あのコペルニクス的転回を、潜在無意識を掻き乱されるようなカタルシスを、もう一度……!

 こうなってしまってはもうダメだ。たとえ大森靖子syrup16gを聞いて自我の境界を再認識しようと試みても、ミカヅキモモコは絶対にお前を逃がしはしない。お前が誰も見たことのないオッサンになるまで、決して。

 でもこの問題は「誰も見たことのないオッサン」がこの世界のマジョリティになれば解決するのでみんなミカヅキモモコのBGMを聴いて中毒になればいいと思う。